親が元気なうちに、実家じまいでやっておきたい準備5選
「縁起でもない」と感じるかもしれませんが、親御様がご健在のうちに進めた方が圧倒的に楽になる実家じまい準備を、五代目代表が5項目に絞ってお伝えします。

「親が元気なうちに、いざという時の話なんて…」── ためらいながらも、心のどこかで気にされているご家族は多いです。
実は、当所(実家整理相談所)にいらっしゃる方の 3分の1以上は親御様ご健在 のうちにご相談に来られます。そして、早めに準備されたご家族のほうが、結果として穏やかに進められている ── これが120年・五代続く仏壇店の店頭での実感です。
本記事では、ご家族の関係を壊さず・急ぎすぎず、少しずつ進められる準備5項目 をご紹介します。
この記事でわかること
- 「縁起でもない」の心理障壁の越え方
- 家族会議のセッティング(議題ゼロから始める)
- エンディングノートの最小限の書き方
- 仏壇・お墓・実家の方針共有
- 親御様のご意向確認
5つの準備
1. 「集まる日」だけまず決める(議題ゼロでよい)
実家じまいの話を切り出すのは難しいものです。最初は「議題なしで集まること」だけ が目的でOK。
- お正月・お盆・GW など家族が自然に集まる機会
- 親御様+お子様(配偶者は最初は同席せずでよい)
- 「これからのことを、ゆっくり話す時間」程度の位置付け
ポイント: 1回で結論を出そうとしない。複数回に分けて、少しずつ話を進めるのが揉めないコツです。
2. エンディングノートを「親御様に書いていただく」
エンディングノートは 遺言書とは違い、法的拘束力はありません。ただし、ご家族が困らないための「親御様の想いと情報の引き継ぎ書」として極めて有用です。
書いていただきたい最小限の項目:
- 預貯金・保険・年金の一覧(金融機関名のみでOK)
- 連絡してほしい親戚・友人リスト
- 葬儀の希望(規模・宗派・場所)
- お墓・仏壇のあり方の希望
- 延命治療の希望
- パスワード・暗証番号(別封筒に封)
書店で1,000円程度から購入可能。当所でも参考様式をご紹介しています。
コツ: 「全部を一度に書いてもらおう」と求めない。 「気が向いたら少しずつ」 書いていただく方が、嫌がられずに完成します。
3. 仏壇・お位牌・お墓の「今後」を確認
これは、当所(仏壇店)ならではの視点です。
| 確認項目 | 親御様への聞き方 |
|---|---|
| 仏壇の引き継ぎ手 | 「お父さんがおじいちゃんから受け継いだ仏壇、私たちの代でどうしようか?」 |
| お墓の管理 | 「年に何度か東京から松阪に帰ってお墓参りしたいけど、難しい時は永代供養への移行も考えていい?」 |
| 菩提寺との関係 | 「住職さんとは、これからも長くお付き合いしていきたい?」 |
親御様がご健在のうちに永代供養先を見学する こともできます。当所では実際に、ご家族3名+親御様で永代供養塔の見学に同行したケースもあります。「自分の最後の場所を、自分で選ぶ」── これは親御様にとっても安心材料になります。
4. 実家(不動産)の方針を「3択」で議論
実家をどうするか、最終決定は急ぐ必要はありません。ただし 「選択肢を整理する」 だけでも、いざという時の混乱が大きく減ります。
[親御様ご健在の今、議論しておく3択]
A. 残す(誰かが住み継ぐ)
→ 誰が・いつから・どのリフォームを?
B. 売る(古家付き or 更地)
→ いつ頃?・いくらで?
C. 解体する(更地化)
→ いつ?・補助金は?
詳しくは 古家付き土地 vs 更地、不動産売却で得なのはどっち? をご覧ください。
「決めない」ことも立派な決定 です。「親が元気なうちは残す、亡くなったら売却検討」というのも有効な戦略です。
5. 兄弟間の「役割の仮決め」
親御様が亡くなられた直後は、悲しみで判断が鈍ります。事前に役割を仮決め しておくと、その時の負担が大きく違います。
| 役割 | 推奨される担当 |
|---|---|
| 喪主 | 同居している/最も近くに住む子 |
| 葬儀の段取り | 葬儀社と直接話せる子 |
| 親戚・友人連絡 | 親御様の交友関係をよく知る子 |
| 役所手続き | 平日動ける子 |
| 仏壇・お墓関連 | 信仰心のある子・住職と話せる子 |
| お金の管理 | 経理的な感覚のある子 |
「全部やる」のは1人では無理です。事前に「あなたはこれを担当」と決めておく ことが、ご家族の関係を守ります。
「縁起でもない」を越える3つのフレーズ
切り出し方で迷う方へ。これらの言い方は、ご家族の経験上、親御様にも受け入れていただきやすいです。
フレーズ1: 「私たちが困らないために、教えてほしい」
主語を「親」ではなく「私(子)」にすることで、心配・準備という前向きな話に変わります。
フレーズ2: 「保険の話みたいなものだから」
「万が一」の準備という枠組みで話すと、抵抗感が下がります。
フレーズ3: 「100歳まで元気でいてほしいけど、念のため」
親御様の長生きを願う気持ち を最初に表明することで、警戒心が和らぎます。
よくあるご質問
Q. 親が「死んだ後のことなんて考えたくない」と言って取り合ってくれません。
A. 無理に話を進めないでください。「3年に1回くらいずつ、少しずつ」 が現実的なペースです。きっかけは「親戚の◯◯さんが亡くなって…」「テレビで終活特集を見て…」等、自然な流れで。
Q. 兄弟と私で意見が違います。親に決めてもらっていいですか?
A. 親御様にすべて決めていただくと、後で「親が言ってたから」が論争の火種になります。「親の希望を聞いた上で、最終的にはご家族で合意」 がベスト。
Q. 配偶者(義理の家族)はどこまで関与すべき?
A. 基本的には実子だけで話し合う のが無難。配偶者が深く関与すると、後の遺産分割で「義理の家族の意向」が論点化するリスクがあります。
Q. 当所はどんなサポートができますか?
A. ご家族会議の 同席・進行サポート を承っています。第三者が間に入ると、客観性が保たれ、感情的にならずに話が進みやすくなります。「親御様も一緒に永代供養先見学」「兄弟全員でZoom会議のファシリ」等、ご事情に合わせて柔軟に対応します。
まとめ
- 実家じまい準備は 早いほど穏やかに進む
- 最初は 「集まる日だけ決める」(議題ゼロでOK)
- エンディングノートは 「気が向いたら少しずつ」
- 仏壇・お墓・実家・役割の 4軸 を整理
- 「縁起でもない」は 言い回し で乗り越えられる
「親が元気なうちに、何かしておきたい」と思われたら、その気持ちを大切にしてください。それが、ご家族を守る一番の準備 です。